植物とコミュニケーションを取りたいと思ったのが最初のきっかけです。植物に水やりをするとすくすく育ってくれます。しかし、もっとダイレクトに植物とコミュニケーションする方法はないのかなと考えていました。 そして行き着いたのが植物生体電位です。
植物生体電位とは、人間でいう脳波や筋電のようなもので、植物の周囲の気温や湿度、水やりの状況、光の状況によって変化する、植物の状態を表す重要な指標の一つです。
植物生体電位測定装置は、一般に筋電計や脳波計等に用いられる技術を応用したものです。しかし、筋電計や脳波計が市場に多く出回っており、DIYレベルで購入が可能なことに対して、植物生体電位に関しては、現在のところ一般にアクセスできるプロジェクトはあまりありません。
その理由として、そもそも植物生体電位についての学術的研究が少ないため、一般に公開されてる情報が少ないことが挙げられます。
そこで、植物生体電位測定装置の開発と同時に、現在までに研究されていることをまとめ、誰でも測定が可能なようにオープンに公開することを目指しました。
現在までの研究で、気温、湿度、光等によって植物生体電位が変化することがわかっていますが、それ以外にも参加する人のそれぞれの興味によって、「実はこんなものにも反応する!」というような新たな発見が生まれるといいなと思っています。
デモ動画は、光の強さが変化すると、光合成速度が変化し、植物生体電位が変化するという実験です。こうして早回しでみていると、モールス信号のように見えてきました。私から植物へ光を介して信号を伝えて、その返答が植物生体電位を介して返ってきているようにも見えます。事実、同様の光を当てても、植物生体電位の応答はその時によってさまざまで、決して機械的なものではありません。もしかしたら、これを幾度と続けていけば、コミュニケーションと呼べるものになるのかもしれないと妄想しました。
現在、オープンソースプロジェクトとして、以下のリソースを公開しています。
植物生体電位測定をオープンにするプロジェクト 制作ノート (Google Slides)
Plant Bioelectric Potential Sensor 植物生体電位解析器 (GitHub)
Arduino Serial Plot Recorder 測定アプリケーション (GitHub)
Arduino Sensor Data Viewer 解析アプリケーション (GitHub)
植物生体電測定装置は、植物の生体電位を測定するためのセンサー部分(ハードウェア)と、そのデータを記録・解析するアプリケーションから構成されています。
世の中に、あまり植物生体電位を測定するという知見が溜まっていないので、脳波計や筋電計の回路構成を参考に、製作しました。プロトタイプ第一号はユニバーサル基板で実装し、現在はPCB基板実装をしています。回路としては、差動増幅器で増幅した信号をArduinoでAD変換し、シリアルで送信しています。
植物生体電位は長い時間をかけてゆっくりと変化していきます。世の中に、長期的な観察に向いてるアプリケーションがなかったので自作しました。
動画は光に対する植物生体電位の変動です。 植物にあたる光の量が変化すると、光合成速度が変化し、植物生体電位が変動します。