指定難病の重症筋無力症は、さまざまな症状があります。今回は、3つの特徴的な課題を解決するために簡易なプロトタイプを作成しました。
一つ目は、筋力が非常に疲れやすい病気のため、呂律が回らず声が聞こえにくい。しかも、コロナ禍でマスクが必須のため、より聞こえにくさが増してしまっている。 二つ目は、免疫抑制を使っているので非常に感染リスクが高く、介助者が患者の近くに顔を近づけることは感染のリスクが高まってしまう。 三つ目は、介助者が車椅子を押している時、患者と介助者は同じ方向を向いている上に高低差があるので、そもそも声が聞こえにくい状態にある。
そこで、介助者のお腹あたりにマイクをつけ、リアルタイムに音声をモニタリングすることでスムーズな会話を目指しています。病院における介護や介助の際に、さまざまなタイプの患者を診る必要があるので、このシステムは、車椅子利用者の負担を増やさない点(車椅子利用者に何かつけたりしない)と、介助者を拡張する方向で作成しています。
プロトタイプ1
「車椅子利用者の胸元に無線マイクを付けてモニタリングしたらいいじゃない?」ということで試したが大失敗。
失敗1 撮影機材を使ったので、録音のゲインが低すぎてモニターに向かない。(集音した音はすごく綺麗)
失敗2 iPhoneを通話状態にして、車椅子を押す側がイヤホンでモニタリングしたが、通話に遅延があり会話がしにくい。
失敗1に関しては、モバイルアンプを噛ませば解決しそうだけど、高い上にごちゃごちゃする。
プロトタイプ2
前回の反省を踏まえ、「特定省電力トランシーバでの会話のテスト」と「フィールドレコーダーを使ったモニター」をテスト。
トランシーバ 1台をイヤホンとPPTマイク付きでテスト。2台使うと近すぎてハウリングしてしまい失敗。1台だけでやってみたが、期待していたような集音は得られなかった。ただ、遅延がなくリアルタイムに音声が聴けるのは、会話はしやすい。PPTマイクだと、都度押さないといけないのもめんどくさい。
フィールドレコーダーを使ったモニター ZOOMのH4nを使ってテスト。XYマイクを使っての集音は、悪くはない。また、モニターしていてもリアルタイムに聞こえる。ただ、レコーダーをかなり口元まで持っていかないといい感じに聞こえないが、マイクが優秀すぎて、会話よりも身体の音が聞こえてしまい、ちょっと気持ち悪い。あと、単純にレコーダーがでかい。
プロトタイプ3
前回の反省を基に、ファンタム電源で動くコンデンサーラベリアマイクとモニターヘッドフォンでテスト。
か、完璧や。。
想像していた集音ができて、音の聞こえ方も悪くない。もちろん、ホワイトノイズが大きいけど、「小さい声を集音する仕組み」としては成功したと思う。片耳タイプのモノラルイヤホン(マイク付き)でモニターしてみたけど、モニターヘッドフォンの方が当たり前だが聞き取りやすい。
ただ、病院内での会話のテストなので、実際に外でテストしないとどうなるかわからない。これは、フィールドテストになるのか?それともバリデーションって読んだ方がいいのか??(わからない)
プロトタイプ4
念のため、他のマイクもテスト。
SHUREのMV7というダイナミックマイクとRODEのNTG2というショットガンマイク。
どっちも大人綺麗に聞こえるけど、いかんせんゲインが低すぎる。という想像通りの結果に。