着るモビリティ MOBILE WEAR (モビルウェア) は衣服のように身に着け、立ち姿勢(standing mode)でも座り姿勢(sitting mode)でも移動することができる超個人的交通機関です。
キックボードのような立ち乗りモビリティと異なり、sitting modeで腰掛けて移動できるので、ユーザーの負担が軽減されます。また、衣服のように身に着けたまま公共交通機関に乗り込むことで、駐輪場や専用ポートに預けたり煩わしい手荷物にする必要がなく、シームレスな移動が容易になります。
そして汎用部品で構成されているので導入費用も低く抑えられ、簡単な工具だけで組立家具のように自宅で分解・組立が可能。いわば自家醸造の乗り物“home brew mobility”と言ってもいいでしょう。実際MOBILE WEARはガレージすらない家庭のリビングで組み立てられています。
このコンセプトの下に2019年にMk-Iを開発。以降、Mk-II(2020年)、Mk-III(2021年)、Mk-IV(2022年)、Mk-V “ARCH”(2023年)と軽量化や操作性向上などの改良を重ねてきました。
sitting mode時に体重を支える主フレームは、Mk-IIIまでは関節部分を含めてアルミ構造材で構成していました。 Mk-IV “MOYAY”では圧縮部材(アルミパイプ)と引張部材(ナイロンロープ)からなる「テンセグリティ(テンデュール)」を応用した構造を採用し軽量化を実現しましたが、ロープ張力の調整などメンテナンス面で課題がありました。 Mk-V ”ARCH”はそのネーミングが示すとおり主フレームにアーチ構造を採用しました。台形断面を持つ木材+発泡材をポリウレタン生地で包んだブロックで圧縮力を受け、各ブロックをポリプロピレンのベルトで結合したシンプルかつ柔軟な構造でsitting mode時の体重を支えます。 このMk-V ”ARCH”の体重支持機構のコンセプトを踏襲し、さらなる軽量化と操作性の向上を計ったのが最新モデルであるMk-VI “forest”です。
MOBILE WEARは自宅から駅の間などのラストワンマイルを結ぶ移動手段として利用することを想定しており、公共交通機関との親和性が高いので鉄道などと組み合わせることでシームレスな長距離移動を可能にします。 MOBILE WEARが移動に費やすエネルギーはとても小さく、クルマに比べればタダ同然であり、ユーザーに対してフリーな移動を提供します。
MOBILE WEARの最新モデル「Mk-VI」の体重支持機構はMk-Vのアーチ構造を踏襲しますが、軽量化のために木材を多用し、さらに既存モデルでは全てアルミ構造材製だった駆動装置構造にも一部木材を採用したことが大きな特徴です。それゆえ開発コードネームは木から連想した「forest」。 Mk-VIは操作性向上のために既存モデルにはなかったステアリング機構を新規採用しましたが、上記軽量化施策の甲斐あってMOBILE WEAR 開発以来の悲願であった10kgを切る本体重量を達成できました。