ポストがオフィスとは離れた場所に設置されていると、郵便物が届いているかを確認しに行くという地味にストレスな作業が発生します。
会社によっては若手が当番制でポストを見に行くところもあるようで、これを解決するため個人で又は社内ワーキンググループを立ち上げ、IoTポストを自作しているという話も聞きました。
弊社もポストとオフィスが離れており、業務改善の一環として作ってみました。
1Fから4Fまでの通信方法を決めるまでが一番苦労しました。
ここには2パターンぐらいしか書いていませんが、実際には5パターンぐらい検討してまして...調査→検討→見積もり→調査→検討→見積もりの日々で、本業も忙しかったこともあり、数か月かかりました😓
結果的には安価でやりたいことが実現できたので良かったです。
ポスト内部に設置するセンサ端末ですが、ポストの底にLoRa端末やバッテリーなどを直置きしワイヤーネットで覆っていますが、運用すると以下の問題点が出てきました。
①ワイヤーネットが邪魔でバッテリー交換がしにくい
②全体的にごちゃごちゃしており見栄えが悪い
③ワイヤーネットとケーブルが絡む
結果的にワイヤーネットが邪魔になってるようなので、ポストの底の大きさと同程度の「箱」を用意し、その中に全てを収納すべきだったかなと思います。
元々は箱に収納する予定でしたが、弊社にあるホビー用の3Dプリンタではサイズ的に造形できず断念しましたが、既製品の箱を購入するなど何かしらの方法で実現すべきだったかなと...今後丁度良いサイズの箱を見つけて改善してみたいと思います。
IoTぽすとの運用を始めてから数か月経過していますが、特に問題なく稼働できてます😊
バッテリー交換も2~3週間に1回程度なので想定範囲内ですし、重い郵便物が投函されてもワイヤーネットがLoRa端末や距離センサをしっかり守ってくれてます!
ちなみに、郵便物が投函された時間をラズパイ側でロギングしてみると、午後に投函されていることが分かったので、午前中はDeepSleepで省電力に努めても良いかもしれません。
必要な機能は以下の通り。
①郵便物の「有り/無し」を検知できる
②1Fから4Fまで検知結果を通知できる
③検知結果は社内の誰でも知ることができる
④モバイルバッテリーで長期間稼働ができる(外部電源なし)
⑤ポストはそのまま(無改造)でIoTポストを設置できる
郵便物を検知する方法の前に、ポストの構造についてです。
以下の通りちょっと特殊な構造になっているアルミ製のポストです。
このポストに投函された郵便物を検知する方法ですが「距離センサ」を使います。
距離センサをポストの底に設置し、郵便物が無い状態(下図左)の「ポスト上面までの距離」を基準に
ポスト上面より短い距離を検出した場合(下図右)は「郵便物有り」と判断します。
ちなみに、距離センサは安く入手しやすいHC-SR04を使用します。
ポストがある1階には弊社内に設置しているWiFiの電波は届かないため、MVNOネットワークを借りる方法を検討していました...が、開発諸経費(マイコン基板や無線モジュールなど)が15000円以上かかるうえ、通信費で年間4000円ぐらい必要になることが判明😥
「知恵を絞って低予算でスマートオフィス化」を基本方針として活動しているため、開発諸経費は仕方ないとしても通信費は抑えたく再度検討をしました。
その結果見つけたのがLPWAの一種である「LoRa通信モジュール E220-900T22S(JP)」です。このモジュールは「1対1」と「1対多」の通信が可能で通信距離が2~15km。都市から郊外や広い農地などの場所でも通信が可能です。
開発諸経費も8500円程度に抑えられたうえ、MVNOネットワークを使わないので通信費が「0円」!
これで合計10,000円ぐらい安くなりました😁
ただし、今回は1階から4階の垂直方向に電波を飛ばすうえ、障害物が多いためオフィス内までは電波が届きませんでした。そこで、1台を電波が届く4階オフィス前(弊社入口)に中継端末として設置することにします。
弊社の社内LANにはラズパイが接続されており、自社で作ったセンサの情報をラズパイに集め、ブラウザから閲覧できるようにしています。IoTポストも同様に、郵便物有り/無し情報もラズパイへ通知することで、全社員がブラウザから確認できるようにします。
ただし、LoRa端末間の通信はLoRa端末間の通信プロトコルでありTcp/Ipではないため、4階オフィス前に設置する中継端末にはプロトコル変換機能(LoRa端末通信→Tcp/Ip通信)を実装します。
1階のポスト周辺には電源が無いため、モバイルバッテリーで動作させます。
ただ、常に通電させておくとバッテリー交換の頻度が上がるため、出来るだけ消費電力を抑える必要があります。そこで、IoTポストの稼働時間は「営業時間内(9:00~18:00)」とし、稼働時間以外は節電のためマイコンを省電力モードに移行させます。
また、郵便物のチェックに「正確性」は必要ですが「即行性」は不要なので、常時監視ではなく1時間に4回(15分毎)チェックとし、それ以外ではマイコンを省電力モードに移行させます。
ちなみにオフィス前にはコンセントがあるため、営業時間内は常に通電している状態にします。
ビル会社のポストなので、当たり前ですが改造は禁止。恐らくテープ類の使用も避けた方が良いでしょうし、ポストがアルミなので磁石も使えません。さらに、ポストの内側にはセンサを設置できそうな穴や隙間がほとんど無いので、画像のようにポスト内部に直置きしました。
ただし、上から落ちてくる荷物がセンサやLoRa端末に当たって壊れないように100均で購入した「ワイヤーネット」でガードします。
センサ端末と中継端末の回路図は以下の通り。