Walky
製品概要
散歩 × Tech
ここに行ってみたい、そんな散歩の情動を、大切に。
日常生活ですべての人々が当たり前のように行う、「散歩」を「テクノロジー」と掛け合わせてみました。
背景(製品開発のきっかけ、課題等)
製品開発のディスカッション中に、チームメンバーのいとこが生まれながら目が不自由であることを知って、
彼が新しい場所に行くためにはどうしたらいいのだろうかと考えたことが、本製品を開発するきっかけとなりました。
視覚障がい者は白杖と呼ばれる長い杖を、
小刻みに左右に揺らしながら地面を叩くことで、
少し先の足元の情報を得て視覚情報を補っています。
彼にヒアリングをしたところ、視覚障がい者は歩く際に、
* 通常の白杖では足元にある障害物のみしか感知することができず、高い位置に本体がある停まっているトラックなどを回避するのは難しい
という問題を抱えていることがわかりました。
この問題を解決するために、スマート白杖と呼ばれる、
超音波センサを用いた障害物への距離を測定する白杖の研究や開発がなされてはいます。
しかし、彼いわく
* 超音波センサ式のスマート白杖は地面等にも反応してしまうため、あまり情報を得られない。それに加えて、障害物が何であるか(例:車、ポスト、ガードレールなど)の判別はできないため、必要な情報を得られない
ため、上記の問題を十分に解決しているとは言えない現状があると考えました。
そこで、今回のプロジェクトでは、従来の白杖に、既存の方式とは異なるアプローチをすることで、
視覚障がい者が気軽に外に出歩ける環境を作ることができないかと考え、
* 画像認識を用いてリアルタイムに、障害物が何で、それがどこにあるかが分かる障害物検知
* それらの情報を指向性スピーカを用いて使用者だけに通知
という実際のニーズに即した機能を持つ、スマート白杖(Walky)を開発しました。
製品説明(具体的な製品の説明)
特長
####1. 障害物がないかをリアルタイムで解析
画像および超音波センサーから取得した距離データをリアルタイムで解析して「障害物が何で、それがどこに」あるのかが分かる障害物の検知を行います。
####2. 障害物の情報を指向性スピーカを用いて利用者だけに通知
解析された障害物が何か(車、人、ガードレール等)と障害物までの距離といった情報を、指向性スピーカを用いて利用者にのみ通知します。
指向性スピーカを用いることによって、利用者である視覚障がい者の耳がイヤホンで塞がれることも、大きな音を出して周囲に迷惑をかけることもなく、利用者は障害物の情報を得ることができます。
####3. プロダクト全体のデザイン
視覚障がい者の方でも利用しやすい、デザイン性に優れた白杖の3Dモデルを作成し、実際に一部を3Dプリンタで出力して筐体として利用しています。
解決出来ること
視覚障がい者の方でも外出をより安全に楽しめるようになる
今後の展望
【画像認識精度の向上】
ブレにより画像がうまく解析できない場合があるので、ブレてしまった画像を後処理で修復しすることで、画像認識精度を向上させる。
参考: http://rocketnews24.com/2012/10/26/260658/
【ガイド機能】
外出する際に目的地まで音声ガイダンスで案内する機能を追加する。
画像認識機能を用いた障害物検知の応用として、風景や看板といった情報を認識し、音声で出力できるようにすることで今までにない外出体験を創出していきたい。
注力したこと(こだわり等)
* 視覚障がい者は耳から得ている情報量が多いので、耳を塞がないようにイヤホンではなくスピーカで通知を行うようにした。特に今回は指向性のスピーカを用いて、利用者以外に音声が聞こえないようにすることで場所に囚われずに使用できるデバイスを目指した。
* 障害物の情報を無機質に通知するだけではなく、距離をリアルタイムで通知するなど、利用者の次のアクションまで考えた設計を心がけた。
* 外出時に利用することが想定されるのでSORACOM Airを用いて、場所に縛らずに利用できるようにした。
開発技術
活用した外部技術
API・データ
* Google Cloud Vision API
* Google Translate API
* Microsoft Computer Vision API
フレームワーク・ライブラリ・モジュール
* Express(API)
* Python(Raspberry Piのクライアント)
* OpenCV
* OpenJTalk
デバイス
* Raspberry Pi
* 超音波センサ
* 加速度センサ
* パラメトリックスピーカ(指向性スピーカ)
* WebCam(HD WEBCAM C270)
* SORACOM Air
* USBモデム
* 3Dプリンタ
独自技術
期間中に開発した独自機能・技術
* client/lib/acceleration.py(https://github.com/jphacks/TK_1621/blob/master/client/lib/acceleration.py#L61)
加速度センサから取得した加速度データを元に画像を撮影するか判断している
* ART/intro.gif(https://github.com/jphacks/TK_1621/blob/master/ART/intro.gif)
作成した3Dモデルで作成したプロダクトをわかりやすく表示しました
賞歴
JPHACKS2016 東京大会 最優秀賞
JPHACKS2016 三菱UFJモルガン・スタンレー証券賞
JPHACKS2016 ImagineCup賞
JPHACKS2016 MashupAward賞
JPHACKS2016 ソフトバンク賞 2016
JPHACKS2016 AbemaTV賞
JPHACKS2016 Innovator認定
JPHACKS2016 Best Idea賞
Mashup Awards 2016 学生部門 最優秀賞
東工大エンジニアリングデザインコンペティション 優勝
Imagine Cup 2017 日本大会優勝
Imagine Cup World Finals 2017 Best 32
######添付させていただいた二枚目の写真の図がわかりやすいかと思います。