未完成なので実装済みの点だけメモします。
V4(メイカーズながおかまつり2025出典版)
画面制御がRaspberry Pi 5に
以前はRaspberry Pi 4を使っていましたが、5にパワーアップされたことにより、「食券」表示のノイズエフェクトがより滑らかになりました。シリアル接続の安定性も向上したことにより、操作時のエラーも少なくなりました。
V3(MFTokyo2024 / NT東京2024出展版)
全ボタン独立制御(LED点灯制御も)対応
シフトレジスタである74HC165(8入力)1個、74HC595(8出力)2個を備えた専用基板を8枚制作しました。各ボタンには、スイッチ入力・販売LED・売り切れLEDの3入出力があり、このボタン8個で構成される横方向の1段を専用基板1枚で制御、さらにこれを縦8列分デイジーチェーンさせることで、極めて少ないI/Oで入力も出力もすることができるようになりました。
外部PC上のAbleton Liveと連携する仕様に
V2時点でのLMMSではライブパフォーマンスに限界があり、またプロのDJの方にも触っていただける可能性があることを見越して、ライブシーンで使われることの多いAbleton LiveというDAWと連携させて発音させる仕様に変更しました。このことにより、楽器というよりはただの「食券機型MIDIコントローラ」のようになっています。
演奏モードの追加
これまでは、2段分を1つのオクターブ・1つのMIDIチャンネルとして合計4オクターブ(2段×4=縦8列)が発音できるだけでしたが、新たに「セッションモード」と「パフォーマンスモード」を加え、食券表示のタッチパネル操作で切り替えられるようにしました。
セッションモードでは、Ableton Liveに予め登録してあるMIDIクリップを選んで再生することができるシーケンサーとして動作します。パフォーマンスモードでは、3オクターブ分のリードとベース(ボタンで切り替え)・ドラムを鳴らせるリズムパッド・かんぷれ互換のパッド、合計3種類のエリアを同時に利用できる配置にし、より総合的な演奏を可能にしました。
V2(NT金沢2024出展版)
PC不要で音が出せるように
内部にRaspberryPi4(当初はreTerminal予定)を搭載し、ボタン制御用のArduino DueとUSB-MIDI結線で連携して食券機単体で音が出せるようになりました。RaspberryPiの内部では、Linuxで動作するDAW「LMMS」を立ち上げており、JACK Audio Connection KitとUSBオーディオインターフェースを適切に設定することによって5ms以内の発音遅延に抑えています。
「食券」のパネルを電子化・タッチディスプレイに
RaspberryPiの起動後、Processingにより作成したインタラクティブな「食券」表示アプリケーションを自動実行するようにしています。このアプリケーションは、通常時は改造前の機体にあったものと同様の見た目の画面を作り出しますが、ボタン操作によりMIDI信号を検知することでグリッチエフェクトをかけ、非現実感を際立たせるような効果を狙っています。
ディスプレイ操作により簡易的なDJプレイに対応
エレクトロミュージックと相性のよいDAW「LMMS」を採用したことで、ボタン操作によって演奏しながら、ディスプレイタッチ操作でドラムやベースなどのトラックの再生状態を変えることにより単体での簡易的なDJプレイを実現しました。
ボタン部分のクリア化
NT金沢1日目の夜に、購入当時からそのままだった食券表面のメニュー表記の紙を透明なものと交換しました。これにより背面のフルカラーLEDの光がより透過するようになり、電子楽器らしい佇まいとなりました。なおメニュー表記と配置は当初のものをそのまま踏襲したうえで、発音するMIDIノート番号や音程を併記することで、どのボタンを押せば何が鳴るのかがほんの少しだけわかりやすくなりました(たぶん)。
V1(NT東京2023出展版)
ボタン入力
1列あたり8つのボタンがあり、それが8列分、合計64ボタンあります。 ボタン1つずつをデジタル入力で処理しているとだいたいどんなマイコンでもI/Oが足りないので、1列ごとに「ラダー抵抗型DA変換回路」を用いることで、8つのアナログ入力から各ボタンの状態を得られるような仕組みにしました。
理論上は全ボタン同時押しが可能ですが、実際に試すとノイズや電圧降下の影響で非常に厳しいことがわかり、現状では1列あたり1ボタンまでの認識となっています。将来的にはシフトレジスタICを用いて、全ボタンを独立して認識できるようにする予定です。
ボタン照明
NeoPixelでおなじみのWS2812Bを利用しています。 64個直列にするのではなく、8個直列×8ストリップにすることで、信号遅延・電圧降下対策としています。
発音処理
現状ではArduino DueをMIDIデバイスとし、接続されたMacbook上のLogic ProにMIDI信号を送って発音させています。動画見てかっこいい音だなと思ったそこのあなた、すみません。 そのうち内部にreTerminalを実装し、MaxかPure Dataでシンセサイザーを設計しようかなと考えてます。
これは演奏してみたい!楽しそう
開発素材に「食券機」が必要
決勝進出者の相互投票と、ヒーローズビンゴの結果により選出されました。
一度に一つしか押せない。そんな当たり前のルールから解き放たれた食券機は、音と光を巧みに操り、新たな電子楽器として転生した。
その衝撃的な演奏シーンは、観る者に驚きをもたらし、自らも演奏に挑戦したくなる欲望を植えつける。
これから先、食券機を目にする者は、それを単なる機械ではなく、真の楽器として見ることだろう!
発想力もさることながら、券売機をオークションで落札し、基板を起こして実装し、NT東京の展示では自家用車で輸送するという行動力に脱帽しました。ぜひ品モノラジオで詳しいお話を聞かせてください。