(動画は字幕有で)
仕様改定履歴
- (2023/1/15) ハードウエア改定
- 上記システム構成図の回路基板PCB ver.2( , 2A) に示すように、外部機器の電源On/Off制御などを外付け回路なしで可能としました。
- 使用例は次の記事 causal SW:応用調理例_外部機器On/Off制御 を参照ください。BDアダプターを接続可能ですが、機能をよく理解した上でご使用ください。
- 回路基板PCBの色調:ver.2( , 2A)は緑、ver.1Aは赤
- (2023/3/24) ソフトウエア改定
- タッチセンサー動作の音源ファイル再生タイミングとして、従来の標準(タッチした瞬間に再生)に加え、タッチしてから離した瞬間に再生させることも可能としました。
- 詳細は、下の 「causal SWを電子工作応用教具にする調理内容」をご覧ください。
このリンクで、causal SWの作例や授業実践記録などの一覧をご覧いただけます
- Please watch the above video with subtitles (English and Japanese subtitles available)
- 上の動画は、字幕表示ありでご覧ください(日と英の字幕あり)
なお、causal SWは、公益財団法人 学習情報研究センター主催による、令和6年度 学習デジタル教材コンクールにて、日本児童教育振興財団賞を受賞しました。
causal SWは電子工作応用教具作成用の素材
多くの日本の学校で、児童個人対応でタブレットなどの情報端末が貸与されましたので、大きな効果があがることを期待しています。一方で、 一般のタブレットデジタル教材にては十分な教育効果をあげにくい、例えば次のような児童もいます。
- 知的や視覚の障害により、画面表示では理解が難しいが、触ったり握ったりできる具体物ならば、認識しやすい、興味を持ちやすい、児童
- 身体的な障害により、小さなアイコン表示を正確にタップすることは難しいが、手のひらサイズほどのタッチセンサーなら安定して操作できる児童
- 身体的な障害により、画面を見ながら画面をタップ操作することは難しいが、わずかにでも意識的に動かせるところの動きを加速度センサーで検知できる児童
- 集中力の維持が難しいが、好きなもの、例えば電車、猫、アニメキャラなどの具体物や音なら集中力を長く維持できる児童
例えば因果関係(causal relationship)理解や運動継続などの目標達成のためには、個の特性を踏まえ何が有効かを一番考える担任教諭が、さらなる個別最適化には電子工作を応用するのが有効とわかった場合でも、新たな技術習得が必要となったら限られた時間の中では難しい、という現実もあります。
そこで、電子工作とプログラミングの必要な部分を調理済み素材として提供するのが ‘causal SW’(コーザルスイッチ)です。身近な材料と道具により入力と出力を付け加えれば、電子工作応用教具に仕上げられます。 特別支援学校や教具作成に限らず、ゲームやイベント対応など、幅広く使われることも期待しています。
causal SWに込めた工夫
’causal SW’の基本機能は、センサーよりの入力を検知すると、その入力番号に対応した音などの出力をすることです。先生が思い描いた幅広い調理を可能な素材となるべく、次のような工夫をしています。
- 触れるセンサー入力を多数接続可能
- タッチセンサー最大12点、加速度センサー最大3点
- 加速度センサーはワイヤレスで、40mほど離れても使用可能
- タッチセンサー自作の自由度確保
- 静電容量が閾値を超えたら’タッチした’と判定します。接続したものの材質、容積、形状によっては、タッチ有無の誤判定をしやすくなりますが、本体電源ON時に全端子の静電容量を実測し、端子ごとに適切な閾値を自動設定
- タッチ検知応答タイミングの自由度確保
- タッチした瞬間に応答するのが標準としてまするが、例えば視覚障害児が触察して認知するという用途でも使えるように、タッチ時には反応せずリリース時に応答するようにプログラム変更なしで設定可能
- 授業での使い勝手
- 意図しない連打防止の時間設定と、加速度センサーの検知閾値設定は、現場で使いながら調整できるボリューム付き
- PCなしで使用可能なので、電源ONですぐに使用可能
- スマホ用USB電源でも使用可能
- アンプ付きスピーカーを接続すれば拡声可能
- 拡張性
- 拡張端子を使用すれば、プログラム変更なしで、例えば BDアダプター を接続してスイッチ教材対応機器の電源On/Offや、タブレットの タップ操作代替部品 を接続しタッチセンサーや加速度センサーにてタップ操作代替可能に
- さらに、プログラミングも取り組む先生なら、作例応用編を参照して、多数のカラーLED点灯制御なども可能
- 情報共有・蓄積
- センサー作例、教具作例、拡張端子使用作例、授業実践事例、などを自由に閲覧・投稿できるサイトを整備し蓄積中
- 電子工作経験者でレーザーカッターを使用できれば本体も自作できるように、必要な情報を公開準備中
- 現時点は、ニーズ把握と検証のため、複数の近隣特別支援学校で導入ワークショップを開催の上で無償貸与中
causal SWの基本仕様
1. キーパーツ
- M5StampS3(メインコントローラー)
- MP3player module (音源ファイル再生、DFplayer_mini相当):1台
(オプション仕様として、3台搭載し擬似3和音対応も可能) - ATOMS3:1点(加速度センサー、検知頻度によっては複数も可能)
2. 入力仕様
- タッチセンサー入力:最大12点 接続可能
(M5StampS3のGPIOに直結のターミナルブロック) - 加速度センサー入力:1点を基本とし、検知頻度によっては複数も可能
(ATOMS3をM5AtomS3とESP-NOW無線接続) - 本体電源入力:「DC5V」ジャックにDC5V出力ACアダプター電源(1.0A以上)を接続
(スマホ用モバイルバッテリーも使用可能) - 全タッチセンサー共通の、連打防止用インターバル時間の調整ボリューム:(I.T.)
- 全加速度センサーより受信の加速度計測値に対し、発音を保留する閾値の調整ボリューム(Th.)
- MP3音源ファイル入りmicroSD memory card
(各入力番号に対応したファイル名で記録し、MP3player moduleに挿入) - リセットスイッチ (rst)
(本体をリセットしプログラムを再起動) - Bootスイッチ(boot)
(通常は使いません。これを押しながらrstスイッチをワンプッシュすることで、Download Bootモードに切り替え)
3. 出力仕様
- スピーカー 内蔵
(直径28mm、MP3player moduleのspk出力直結) - audio出力用 3.5mmミニジャック 搭載
(MP3player moduleのDAC-L,-R出力直結) - フルカラーシリアルLED 12点搭載
(WS2812B、タッチセンサーON番号・加速度センサー信号強度・調整ボリューム設定値などを表示)
4. 本体ケース
- MDF 2.5mm厚 板材:レーザーカット
- 回路基板固定用のM3ナット・ネジ:4セット
- ケース上蓋の吸着固定用に、直径6mm 厚2.6mm のネオジウムマグネット:4個
5. プログラム
- 本体内蔵M5StampS3と、加速度センサーATOMS3のプログラムは Arduinoにより作成
6. 作成情報
- (causal SW本体の作成情報は、公開に向け準備中です)
causal SWを電子工作応用教具にする調理内容
調理例をProtoPediaのcausal SWに順次登録していますので、是非ご覧ください。
- 一つ以上のセンサーを接続
- 作例など参考に、タッチセンサーを制作し、タッチセンサー入力端子に接続
- 作例など参考に、加速度センサーを、振動を検知したいものに固定
- 各センサー入力に対応した音源ファイルを、音源サイトからのダウンロードや録音をして、作成
- 入力センサー番号をファイル名にしたmp3音源ファイルを、microSDcardに保存し、MP3player moduleに挿入
- microSD cardへの音源データファイルの保存方法 (追加仕様版)
- 個々のタッチセンサー番号対応の音源ファイルを下記ルールで命名し、タッチセンサーの動作に合わせたフォルダーに書き込む
- 音源ファイル命名ルール
- センサー番号に対応した半角数字4桁で始まるファイル名
- タッチセンサー(0001〜0012)
- 加速度センサー(0013〜 ):加速度センサー内の設定値により決まる番号で、標準値は0013
- 数字4桁に続け、音源の内容をわかりやすくする任意の半角英数字の文字列付加可能
- 音源ファイルの拡張子は常に .mp3
- センサー番号に対応した半角数字4桁で始まるファイル名
- microSD cardの音源データファイル保管場所
- ルート(他のフォルダーの中でなくトップの位置)に、次の名前のフォルダー二つを作成
- フォルダー名「mp3」(半角英数字)
- フォルダー名「10」 (半角英数字)
- 音源ファイルを入れるフォルダーによって、タッチ操作音の再生タイミングを次表のように変えられます。
- 音源データの保管フォルダーによる再生タイミング
フォルダー名 mp3 10 音のなるタイミング タッチした瞬間 タッチして離した瞬間 - 電源ONして立ち上がる際に、フォルダー名「10」内のファイル有無を確認し、有れば自動的に手を離した時に再生されます。
- 手を離した瞬間に再生させたいタッチセンサーがある場合のみ、そのタッチセンサー番号の音源ファイルをフォルダー名「10」に入れてください。
- 保管フォルダーと再生音の例示
フォルダー名 mp3 10 再生音 例1 0001dog.mp3 - 1番にタッチした瞬間に 0001dog.mp3 例2 - 0003cat.mp3 3番にタッチし、離した瞬間に 0003cat.mp3 例3 0005water.mp3 0005fish.mp3 5番にタッチした瞬間に 0005water.mp3、離した瞬間に0005fish.mp3 例4 0013car.mp3 0013train.mp3 加速度センサー振った瞬間に 0013car.mp3
(0013.train.mp3はあっても再生されない)
- 音源データの保管フォルダーによる再生タイミング
- ルート(他のフォルダーの中でなくトップの位置)に、次の名前のフォルダー二つを作成
- あとは、電源ONしてすぐ使用開始
- 音源データの作成・保存以外、調理時や使用時にPCは不要
- もし、内蔵スピーカーでは音量不足なら、アクティブスピーカーを接続
- 電源OFFしてから、本体の「audio out」(3.5mmミニジャック)にアクティブスピーカーを接続
- 再び電源ONし、アクティブスピーカーの音量を調節し、運用開始
causal SWの起動・停止・リセット方法
- 起動前の準備
- タッチセンサーは、電源投入前に、端子台への接続を含め全ての配線完了を
- 電源として、USB電源となる5V出力のACアダプター(1.0A以上)か、スマホ用モバイルバッテリーの準備を
- micorSDメモリーカードの抜き差しは、電源OFF時に実施を
- 起動、停止方法
- 本体に電源SWはありません
「DC5V」ジャックに接続した電源の通電ON/OFF にて、起動停止を - 本体への通電開始から起動完了サインまでは、全センサーに触らないこと
(起動時に、タッチセンサーの静電容量を実測して、タッチ有無判定値を設定しているため) - 起動完了サイン = LED12番から1番に光が流れた後の「ポン」という音
- 加速度センサーの起動
- 本体の起動前でも起動中でも、加速度センサーへの通電ONで使用可能に
- 加速度センサー内プログラムにて、予め次が設定さています。
・無線送信データを受信できる本体(その本体のみが、その加速度センサーに対し反応する)
・送信する番号(本体内のその番号に対応する音源ファイルが再生される) - 設定されている、データ受信本体のMACアドレスと送信する番号は、加速度センサーの液晶画面に表示あり
- WiFi通信方式を利用しており、数十m離れた本体にワイヤレス送信が可能
- 近傍機器の影響で誤動作したなら、近傍機器の電源を切って確認を
- リセット方法
- 本体正面内部に見える回路基板上の「rst」スイッチをワンプッシュし、起動完了サインを待ってから再開を
- もしタッチセンサーや加速度センサーが急に反応しなくなったら、リセットを
5.外部アクティブスピーカーの接続
- 内蔵スピーカーの音量では不足の場合、「audio out」(3.5mmミニジャック)にアクティブスピーカーなどを接続
これめっちゃいいですね。大学にゼミで使いたい!
湯村さん、大学のゼミにてとは、想定外のご評価、ありがとうございます。もし実現すれば嬉しく思います。
マウザーヒーロー賞をありがとうございます。コメントも励みになります。
達成感をより感じやすい音を出す工夫や完成作品を1つに限定しないアイデアが好きです。子供たちへの優しい工夫がみえる作品でした。
Causal SWは電子工作アプリティーチングを作成するためのツールで、その中でStampと AtomS3で開発したオルゴールは教育的価値があり、内部の機能は非常に豊富で、学ぶ人への配慮も十分されていると思います。
「第40回 学習デジタル教材コンクール」(令和6年度)にて、causal SWは 日本児童教育振興財団賞 を受賞しました。励みになります。
https://gakujoken.or.jp/ghp/r6conckekka/